〜スクラムを学び始めた自分へ、今伝えらるなら何を伝えたいか〜
7年前にスクラムを学び始めた自分に、今の自分が伝えるなら何を伝えているだろうか。
どこから手を付けたらいいのか?
7年前の自分は、スクラムを自分が参画するプロジェクトに適用しようと考えた時に、どうやって、どこから適用しようか色々と試行錯誤した結果、失敗に終わった(※1)。
今、あの時の自分に教えるなら、まず何から始めることを教えるかな。
スクラムは開発ツールの一つ。
ツールとして使用できるようになるまでには、それなりの準備が必要。
いきなり使って、すぐに上手には使えなくて当然で、まずは、次のステップをふんでチーム作りから進めたい。
Step1.
組織内で1人は、サラリーのためだけに仕事をしているのではなく、より良い物をユーザーに届けたいという思いがあるメンバーを見つけ、チームに入れること
最初のフォロワーは、自分で見つけるということ。
(有名なこの動画の様に最初のフォロワーが見つかればよいが、見つからなかったら見つけるしかない)
何がユーザーにとって本当に必要な価値であるかを話し合えるメンバーがいて、開発中に2人でそのことについて話していると、次第に他のメンバーも巻き込まれていく。
つまり、2人でどれだけちっぽけでも良いので、まずは同じ目的地に向かうバス(※2)を作ることが、重要だと思う。何も、いきなり全員バスに載せる必要はない(そういえば、いきなり全員バスに乗せようとして失敗したことも。。。)
他のメンバーが仕様書を実装するあまり、ユーザーの価値を考えて開発できなくなっているメンバーだった場合(悪い人では決してないのだけれど)、1人でどれだけ熱く語ったところで改宗してもらうための努力は、徒労に終わることが多い(手を動かすオペレーターという役割が長すぎて、そもそも価値って何?となっている人も少なくない)。
相手にとって興味が無い事へ興味を向けさせることほど、大変なことはないと思う。すくなくとも自分の場合そうだった
まさに北風と太陽で、バスに乗ってほしいのであれば、矯正するのではなくて、バスに乗って楽しそうにしているところを見せれば良い。
Step2.
1人見つけたら、一緒に社外のスクラムイベントに参加して、スクラムを最初から最後まで通して学べるワークショップに参加すること
image via “Scrum Simulation with LEGO”
スクラムの開発プロセスは、1枚の図でよく表されていることが多い。
それだけ、プロセスについての表面的な理解はそんなに難しいことではない。
でも実際にやると、
など、ただ、スクラムのプロセスにそっているといったことにはなっていないだろうか。
スクラムを実践する前によく考えていたのは、「1度でいいからスクラムで開発しているチームに参加することができれば、自分でも出来る気がする。」という思い。
そんな時は、社外のスクラム勉強会にぜひ同じチームのメンバーと参加してほしい。
そして、できれば1日でスクラム体験が出来るワークショップが良い。
など、たった1日だけのワークショップだけど学びは1プロジェクトを終えたぐらいの学びがある。
素振りと呼ぶには、十分な体験が得られる。
Step3.
そのワークショップで、スクラム開発での経験を持っている人たちと知り合い、悩みがあればいつでも相談出来る場を見つけること
jonevans94 via flickr
スクラムはスポーツと同じで熟練度によって楽しみも辛さも学びも異なると思う。
だから、スクラムは学び続ける必要があるし、仮に1つのプロジェクトで上手く行ったからといって、次のプロジェクトでも上手くいくという保証はない(上手くいかなかったのならなおさら)。
要は、いかにしてチームで早く基礎になる部分を体得して、そこからさらに楽しめるようになるか。
一度楽しめるようになったらどんどん価値を生み出すことが出来て、どんどん楽しくなっていくと思う。
躓いてしまった自分へ
この先長く続くプロジェクトを一人で生き残るのは結構きついと思う(納品後のプレッシャーとかは、実際きつかった)。
でも、
などということももちろん、あると思う。
そんな時は、思い切って社外の勉強会に参加している人を、自分のチームに参加してもらうことも考えてみてはどうだろうか。
権限がないかもしれないけれど、上司だって優秀な人材を探しているし、SIerの場合、大抵職務経歴書をみただけで、雇うかどうか決めなければいけないわけだから、自分の部下が積極的に優秀な人を連れてきてくれることは、上司にとっても嬉しいことではないだろうか。
また、上司に頼んで派遣の方の面接に一緒に参加させてもらい、自分で直接チームに加わる派遣の方を採用するという方法はどうだろう。
スクラムはチームの文化をすごく重要視していると思う。
技術は教えられたとしても、考え方や感じ方が異なる人とチームを組むことはすごく難しい。
であれば、面接に一緒に参加させてもらい、自らチームのメンバーとなる同じ文化の人を採用してみるのも手段の一つだと思う。
これで、7年前の自分が一歩踏み出せるかは、甚だ疑問だけれど。
※1 ここでの失敗は、スクラムのプロセスにのっとった開発すらできなかった
※2 アジャイルサムライの第3章「みんなをバスに乗せる」に因んで
※3 チームが自発的に改善に取り組んでおらず、”時間が来たから”、”支持されたから”スクラムを行っている状態をスクラムごっこと言ってみました。